〈※本記事は、2015年4月にフィールドに訪れた際のアーカイブレポートになります〉
「世界最高峰」この言葉は様々なシーンで表現されますが、伝統のある物語を感じさせてくれます。地球上で最も宇宙に近い世界最高峰から見上げた空、見下ろした地平線はどんな光景でしょう。ローツェ峰から眺めた世界最高峰は、どんな山容なのでしょうか。想像が峰のように膨らんでゆきます。
今回の遠征は、標高7,906mに設置された最終キャンプC4(サウスコル)からエベレスト峰に登頂した後、翌日に再びC4からローツェ峰登頂を目指す計画です。入山に必要な書類を受け取るためにカトマンズ市内の事務所で過ごします。8,000m峰2座への許可書を手に取ると、いよいよ「準備は全て整った!」という気持ちに満たされます。その嬉しさから許可書と一緒に満面の笑みで記念撮影。その気持ちからでしょう、事務所から眺める風景までも絶景に見えてしまいます。
カトマンズはヒマラヤ登山の玄関口と呼ばれているため牧歌的なイメージがあるかもしれませんが、ここはネパールの首都、人口100万人の方々が暮らしています。カトマンズは盆地なため周囲は山々に囲まれているはずですが、春霞なのでしょうか晴天のはずですが白い空。日用雑貨の市場、手前にはcafé?が見えます。
駄菓子屋さんの横の広場では、お子さんを連れたお母さんたちがおしゃべりに夢中です。標高1,400mほどありますが日差しが強く、まだ4月ですが初夏の陽気。その会話は聞こえてきませんが、「アイスクリーム買って・・・」とお願いしているようです。
「カトマンズ旧王宮広場」(ダルバール広場)に立ち寄ります。東京の活気(雑踏)とは全く違う賑やかさ(騒がしさ)です。8,000m峰2座の許可書を手にしたばかりの登山者として、街中で迷子になるわけにはいきません。
日本国内を観光されている海外旅行者の姿を見て「なんでこんな所を嬉しそうに撮影されているのかな?」と、思う疑問の答えがここにあります。喧騒に慣れてしまうと、何を見ても新鮮で飽きません。ユネスコの世界遺産に登録されているダルバール広場ですが、有名な建造物を見学することと同じぐらい、カトマンズの日常生活の光景に旅の魅力を感じます。
有名な建造物でも長時間眺めていたら飽きてしまいそうですが、通り過ぎてゆくカトマンズの方々の姿は飽きません。普段、日本での日常生活で過ごす昼下がりの頃、カトマンズではこのような光景が広がっていたことを知ります。帰国しても「今頃、ダルバード広場はあんな感じなんだろうな・・・」と、これから先、何度も懐かしく思い出すことでしょう。
ここは世界中から観光旅行者が訪れる広場です。カトマンズらしい、お土産品が並びます。やはり現地の方々は買わないのでしょう、生活市場と違って閑散としています。しかし、一旦足を止めて眺めてしまうと、登山者であることを忘れて観光旅行者になってしまいます。カトマンズっぽい土産品を前にすると、「せっかく来たんだし・・・」を理由に心を奪われます。
有名な「クマリの館」、女神クマリの化身として崇拝される少女がここに住まわれていますので静かに眺めます。クマリは幸運をもたらす生きた女神さま、運が良ければ窓からお顔を出だされることもあると聞き、ドキドキしながらソワソワと窓たちをグルグル見上げます。
ここは日本に例えると京都・奈良でしょうか、有名な建造物ばかりです。日本と同じアジア圏、日本の建造物と似ているところ、異なるところを無意識に見比べてしまいます。
海外旅行者にとっては、遥々遠くから訪れた観光スポットなので忙しく記念撮影に追われてしまいますが、現地の方々にとっては憩いの場所でもあります。夕方になって、気持ちのいい風が吹き始める時間なのでしょう、地元のたち々が集い始めます。
人の数ほど、鳩の数も・・・。
ここは鳩たちのお家でもありました。ユネスコ世界文化遺産に登録されている寺院で暮らしているとは、なかなか神々しい鳩たちです。
建造物全体に目を奪われてしまいそうですが、その柱一本一本が芸術品のようです。博物館の収蔵庫に保管されていても不思議でない物ばかり。カメラの望遠レンズを双眼鏡代わりに細かいところまで見学しているので、仲間たちからはぐれてしまいそうです。
観光地から日常生活の場所、究極の雑踏エリア「タメル地区」に突入です。