「いつかは8,000m!」 登山を始めた高校1年生からの、自分自身への合い言葉。アフリカ大陸、南米大陸、ヨーロッパ大陸、北米大陸への遠征を経験し、いよいよアジア大陸・ヒマラヤ8,000m峰に挑戦です。
BCへ出発です。体調も非常にシャープで、気持ちのいい状態。再びサマ村に戻ってくるのは、1ヶ月後になります。高所障害による体調の悪化は、とても危険なので登山に集中しながら、体の状態を常に確認します。サマ村からマナスル峰南東側見上げると、双子峰に見えます。右側がピナクル峰、左側が目指す本峰です。
サマ村を離れると、本峰はピナクル峰に隠されてしまうため、山頂へのアタック日まで見ることが出来ません。何度も見上げてしまい、出発の準備が遅れます。
共同装備の荷揚げを協力していただく、大勢のポーターたちと一緒に出発します。
サマ村の高台にあるゴンパ(寺院)を通り過ぎ、歩きながらお経が彫ってあるマニ車を回します。マナスル峰は、昨年、大規模な雪崩が発生して死者行方不明者12名もの惨劇が起こった場所、安全祈願も真剣です。ブリ・ガンダギ源流を黙々と歩くと、美しい氷河湖が見えてきます。牧歌的な風景もここまで、これから先はマナスル氷河を歩くため、草木の世界ともお別れです。
標高4,000mを超えた頃、マナスル氷河の末端に到着。目の前で見る、初めてのヒマラヤ氷河。その威圧的な色合い、不気味な氷河の崩壊音、8,000m峰の氷河に相応しい圧倒的なスケールに驚くばかりです。
氷河が融けた谷筋を渡り、ナイフエッジとなったルートを進みます。標高4,500mを超えた頃からガスに包まれました。モノトーンの世界を黙々と歩き続けると、ガスの切れ間からテントの色鮮やかな登山基地、BCが現れました。
今秋は、世界中から集まった全15隊がマナスル峰山頂を目指します。安全祈願の経文が書かれた五色の旗、タルチョをくぐって我々もBCの仲間入りです。
タフなポーターたちは、荷揚げの疲れなど全く感じないのか、休憩することなく世間話をしながら、楽しそうにテントの設営を始めました。何が起きるか分からないヒマラヤ遠征生活、ポーターたちの笑い声を聞いていると、ほっとします。
ヒマラヤ・世界第8位高峰マナスル峰(8,163m)遠征 vol.6 へ