南緯32度、日本との時差12時間。日本列島の裏側、地球儀をぐるりと半周回した場所、世界最長8,000kmアンデス山脈の旅へ。日本の地平線の下、南半球の星空(宇宙)を眺めながら、南米大陸最高峰アコンカグア峰(6,960m)山頂を目指します。
今日は最後の休息日。本日も晴天なり。天候はとても安定しています。明日からいよいよ本番です。しっかり休息して、体調と気持ちを整えて山頂へ向かいます。
C1までの登山ルートは荒涼とした砂利道が延々と続きますが、BCの出口、登山ルートの入り口は「ここだけ雪原」が広がっています。エル・プロモ峰のキャンプ地ピエドラ・ヌメラダの「ここだけ湿地帯」を思い出させます。
昼夜の寒暖差でこのような尖った形になるのでしょうか。
摩訶不思議な雪原です。
誰が最初に開拓してくださったのでしょうか、歩きやすいように1本だけ歩道が出来ています。多くの登山者で踏み固められているため、滑りやすくなっています。特にC1からの戻り、「BCに帰ってきた~!さて、ランチにしましょう♪」という気の緩みが、そのリスクを高めます。アイゼンを装着するには、微妙な距離と傾斜、そして「ここだけ雪原」がアイゼン携行の判断を鈍らせます。
その歩道の入り口で待っていれば「C1へ向かう人にはお見送り」、「C1から戻って来た人にはお出迎え」が出来ます。
登頂出来たのでしょうか、疲れていると思われますが、皆さん陽気に戻って来ます。
どこの国の方か分かりませんが、「おかえりなさい!」みたいな表情とジェスチャーでお出迎えします。
どこの国の方か分かりませんが、「お疲れ様でした!」みたいな表情とジェスチャーでお出迎えします。
どこの国の方か分かりませんが、「大変でしたね…、疲れたでしょ…、ゆっくり休んで…」みたいな表情とジェスチャーでお出迎えします。
休息日といっても体をなまらせたくありません。BC内をフィルムカメラとおやつを持って一日中散歩します。
新年のご挨拶回りのおかげで、顔見知りになった方々と会釈程度の挨拶を交わしながら、お気に入りのコースを散歩します。
お気に入りの場所に腰掛けて、日本から持ってきた貴重なお煎餅をいただきます。豪華なおせち料理を前にした気分です。ザックの中で揺すられて粉々になっていますが、お醤油味が香ばしく、数に限りのあるお煎餅1枚1枚に愛おしさすら感じます。
時間があれば凧を揚げて遊びます。ひとりで海釣りをしているような気分です。
風が強いため、凧が音を立てながら左右に大きく振られます。凧糸をどんどん出したり、くるくる巻いたりして凧を安定させます。大物が釣れて嬉しそうにリールを操作する、太公望のようです。
気持ちが満たされるというのは、このような心持ちなのでしょうか。時間を忘れて、凧だけを純粋に眺めます。釣りをしている時の、ウキを眺めている気分と一緒です。