南緯32度、日本との時差12時間。日本列島の裏側、地球儀をぐるりと半周回した場所、世界最長8,000kmアンデス山脈の旅へ。日本の地平線の下、南半球の星空(宇宙)を眺めながら、南米大陸最高峰アコンカグア峰(6,960m)山頂を目指します。
南米大陸最高峰・アコンカグア峰(6,960m)登山 vol.1は こちら
「きれいな青空」という説明では言葉が足りません。作家さんでしたら、どんな文章でこの空を表現されるのでしょうか。仕事柄、昼夜関係なく空を見上げますが、特別に美しい空です。標高が高く気圧が低いということもありますが、大気が非常に乾燥し、空気中の浮遊物(細塵)も少ない「完璧な青空」に見とれてしまいます。
太陽の光に色はありません。大気の中を日光が通過する際、浮遊物に衝突すると波長の短い光線は散乱され、その青系の色が青空として見えます。天象ではありませんが、その先に広がる宇宙空間に直結していることを思わせる空を観望します。
「山紫水明」。登山を目的としたキャンプ地としては贅沢な風景です。南米のコーヒーを飲みながら朝食までの時間を、ゆっくり過ごします。登山の魅力は、山頂に立つだけでなく、このような山での日常生活も含まれています。カール状の地形なので雪解け水が溜まって池となり、その場所が湿原になっているようです。氷河の侵食作用によってできた場所に立っていることをイメージしながら眺めると、単なる美しい風景という絵画的なものではなく、天地創造のドラマとして見えてきます。
昨夜、山霧に包まれたこのキャンプ地でクリスマスのミサを厳かに行っている登山隊の姿がありました。日本で過ごす賑やかなクリスマス。その反対側の国、その山中でも行われている静かなクリスマス。どちらも同じクリスマスですが、その対極的な過ごし方の文化に考えさせられます。
人工物の無さによる遠近の錯覚と、空気が澄んでいるため、キャンプ地を囲む峰々が近距離に感じられます。涸沢カールのように、このキャンプ地をベースにしてエル・プロモ峰以外にも順番に立ち寄れたら…。
今日は、この風景を満喫しながら高所順応を兼ねてのトレッキングです。紙袋のランチパックには、南米らしいチョコレートやキャラメルなどのお菓子もいっぱい!山でのお菓子も登山の楽しみです。登山マジックでしょうか、山でのおやつは、普段より愛おしく感じるから不思議です。