春の日高へ。競馬史に名を刻む、ダービー馬を取材しました。
北海道、浦河町。太平洋と日高山脈を望む、緑豊かな北の大地です。
日高地方は競走馬のふるさと。日本の生産牧場の約7割が集まります。浦河町に最初の牧場が開かれたのは江戸末期。明治中期にはサラブレッドが導入され、幾多の名馬を産出してきました。
うらかわ優駿ビレッジAERUへ。浦河町と中央競馬会(JRA)が、「馬と自然とふれあえる里」をテーマに開いた牧場です。ホテルも併設され、乗馬や引き馬体験、トレッキングやカヌーツアーなど、北海道らしいアクティビティを楽しめます。
敷地の一角にあるJRA功労馬放牧場。競走馬・繁殖馬として特に優秀な功績を残した馬が、ここで余生を送っています。
今回取材したウイニングチケット号。`93年東京優駿(日本ダービー)に勝利。実に19回目の挑戦で、柴田政人騎手に悲願のダービー制覇をもたらしました。最後の直線でのデッドヒートは、東京競馬場に詰め掛けた17万人の大観衆を感動の渦へ巻き込み、歴史的名勝負として語り継がれています。
ウイニングチケットはこの春29歳。人間なら100歳のお爺さん。しかし毛並みは美しく、身体は今も筋肉質。穏やかな表情で、春の若草を美味しそうにほお張っていました。
放牧後、厩舎に戻ったチケット号。乗馬課の太田篤志マネージャーが、怪我や異常がないか確かめながら、全身にブラシをかけ、丹念に拭きあげます。太田さんは、子どもの頃に家族で牧場を訪れたのをきっかけに、この道を志したのだそう。馬への敬意と優しさに満ちた眼差しが印象的でした。
今回撮影した写真は、Number 978号・特集「日本ダービー革命元年」(5/18発売)に掲載されています。ダービー制覇後に騎手を引退した柴田政人さんへのロングインタビューは、競馬ファンはもちろん、競馬ファンならずとも、思わず惹き込まれる物語。ぜひお手にとってみてください。
浦河町へは新千歳空港から車で約3時間。美しき優駿を見に、この夏出かけて みてはいかがでしょう。
スポーツ総合雑誌 Number <https://number.bunshun.jp>
うらかわ優駿ビレッジAERU <https://aeru-urakawa.co.jp>
今回使ったアイテム
ジャケット:boma NS jkt、フリース:hybrid fleece、帽子:WG rib beanie