晩秋の八ヶ岳縦走。今回は硫黄岳から横岳の様子をお伝えします。
硫黄岳山荘。稜線鞍部に佇む昔ながらの小屋ですが、Wi-Fi、温水シャワー、ウォッシュレットを完備。幅広いニーズに応える設備を備えます。
ロビーにはタルチョが飾られ、ヒマラヤの山小屋のような雰囲気。売店ではネパールの小物なども売られています。
この日は個室を予約。壁には皇太子殿下のお写真が。30年前、小屋のご主人の案内で八ヶ岳を縦走された時の一枚だそう。窓からは浅間山や妙義山、信越の山並みが見えました。
日没。南・中央・北アルプスを望む絶景。光のスペクトルが地平を包みます。
夕食にはワカサギのフライが出ました。諏訪湖を望む山域らしいひと品。
夕食後、しばし外に出て月光浴。岩肌が月に光る様は、時空を越えた、見知らぬ星のよう。自然のなかで眺める月は、人間が本来備える、忘れた感覚を呼び醒ますように思えます。
夜明け前に起床。この日はオリオン座流星群。光の矢が、時折夜空を走ります。初めて流星群を見たのは小学生の頃。親に連れられて登った白馬岳での夜でした。満点の星空を見上げた時の感動は、いまも鮮やかに覚えています。宇宙の神秘を、寒さも忘れて焼き付けたのでした。
午前5時。御来光。一日の安全を祈ります。
朝食後、身支度を整え、いざ赤岳へ。
台座ノ頭(2,795m)に登ると富士山が姿を表しました。
ここからが八ヶ岳の核心部。危険な箇所では三点確保を心がけ、慎重に歩を進めます。
横岳山頂(奥の院)。
横岳は広い稜線にピークが連なる複合峰(写真は冬季)。
主峰は奥の院(中央)と呼ばれ、南から、二十三夜峰・鉾岳・石尊峰・三叉峰と回廊がつづきます。山岳信仰に因む山名は、人々が敬い崇めた名残。立山修験のように、現在の行者小屋を修行の場に、阿弥陀岳から横岳にかけての山域を曼荼羅に見立てていたのかもしれません。
リクリエーションで山に登ることがなかった時代。人は何を想い、頂を目指したのか。二十三夜(月待ち信仰)の石板が、静かに時を刻みます。
横岳稜線を東へ西へ縫うようにトレイルは続きます。地平を望みながらの山旅は、本州の中心に位置し、周囲に高い山のない八ヶ岳ならではの魅力。鎖場やハシゴなど変化に富み、縦走の醍醐味を味わえます。
主峰・赤岳(2,899m)が迫ってきました。次回はいよいよ山頂へ。
今回使ったアイテム
リュックサック:ridge 30 type2、ジャケット:boma NS jkt(unisex)、concordia down jkt、フリース:trail fleece、ハット:grab hat +d