中国の旅もいよいよ最終章。悠久の時刻む古都・西安を彷徨しました。
四川省の省都・成都を出てから2週間。いよいよこの旅の最終地、西安の街並みが見えてきました。人口約650万。中国西部最大の都市です。
西城門をくぐり、街の中心部へ。
西安は人類文明の最も古い起源の地のひとつ。古くは長安と呼ばれ、紀元前11世紀以降、13王朝がここを都と定めました。唐の時代(7〜10世紀)には南北8km、東西9kmの城壁に囲まれ、最大100万人以上が暮らしたと言われています。その都市計画は日本の平城京・平安京のモデルとなりました。
シルクロードの起点として栄えた西安は、アラブ ペルシャ インドの商人も行き交う国際都市でした。600年以上の歴史を持つ回民街・西羊市へ。イスラム教徒の食堂や屋台が軒を連ね、いにしえのバザールの空気を今に伝えます。
串焼き売りの少年。爆音のテクノをBGMに、手際よく羊肉を捌きます。
イスラム帽を脱げば、ストリートの若者。
食堂の客引き扮する孫悟空。孫悟空のモデルとなった僧・玄奘(げんじょう 602-664年)は西安から西域へ旅立ち、印度から多くの経典と仏像を携え帰還。仏教の深化と発展に全生涯を捧げました。その足跡は、今も人々の心に根ざしているのかもしれません。
明代に築かれた古城壁(1378年完成)へ。1周14キロの石畳を徒歩やレンタサイクルで周遊可能。
歴史を刻む城門。現存する城壁では世界最大級。
古代より東西の旅人が目指した都・西安。万里の旅の果て、辿り着いた人々の眼に、この街はどう焼きついたのか。古に想いを馳せつつ、シャッターを切りました。
夜。城壁がライトアップされ、中国の歴史を讃えるショーが催されました。艶やかな俳優、巨大なサウンドシステム、レーザーやピクセルマッピングを惜しげなく使った演出は、中国経済の勢いを象徴するかのよう。
まばゆい光を浴びながら、ふと、食堂で出会った地元の男性の言葉を思い出しました —「この国の変化のスピードを想像できますか?この10年で、収入は10倍に増えました。この先いったいどうなるか?我々にも全く分かりません」—-通りに佇み、ショーを見つめる人々の姿が印象的でした。
ホテルへの帰り道。ギターの音色にふと足を止めました。変わりゆく中国社会。その流れに抗うように、男はただ黙々とギターを奏でます。旅の終わりに、静かな歌声が強く胸に響くのでした。
今回使ったアイテム
キャリーケース:clamshell 80、バックパック:eclipse pro 27、フリース:trail fleece、ハット:grab hat +d、シャツ:delta S/S