甘粛省から東進。陝西省宝鶏市へ。中国文明発祥の地に、志士の夢跡を訪ねます。
陝西省西部の都市・宝鶏。人口約40万。黄河の支流・渭水(いすい)にのぞみ、中国北西地域の要衝として発展しました。近年、省都・西安からの新幹線が開通。広い道路に高層マンションが建ち並ぶ新興都市の様相です。
電気スクーターでの通学風景。日本では見かけぬ電動バイクが、中国では急速に普及中。小型車両の殆どが、エンジンからモーター駆動に換わりました。中国では自転車と同じ扱いのため免許不要、無税、自賠責保険も必要なし。庶民の脚として、今日も街を疾走中。
街角のマントゥ(饅頭)屋で腹ごしらえ。マントゥは中国北部のソウルフード。豚肉やニラをもちもちの生地で包みます。蒸し立てを手軽に食べられるため、多忙なロケでは欠かせぬ兵糧に。
宝鶏市一帯は周原と呼ばれ、古来、中国文明起源の地として栄えました。その歴史は古代王朝・周(紀元前11〜8世紀)に遡り、以来、幾多の戦乱、栄枯盛衰の舞台に。なかでも有名なのが五丈原の戦い(234年)。三国時代(2〜3世紀)、蜀と魏の戦いです。蜀軍を率いた軍師・諸葛亮を祀る霊廟は、いまも参拝者が絶えません。
五丈原古戦場。蜀軍陣地からの眺め。長安(西安)制圧を目指した諸葛亮は、ここで眼下に布陣する魏の軍勢と対峙しました。三国を平定し、中国統一を目指した諸葛亮でしたが、やがて病に倒れ陣没。蜀軍は四川へ撤退します。
古戦場を歩きつつ、古に想いを巡らせます。兵どもの夢のあと。落日の野に、空を舞う雲雀の歌が響くのでした。
諸葛亮廟から望む、夜の宝鶏市街。その姿は、闇夜を照らす不死鳥のよう。現代中国の有りようを、かの志士達はどう思うのか。旅もいよいよ最終章。次回は古都・西安へ。
今回使ったアイテム
キャリーケース:clamshell 80、バックパック:eclipse pro 27、フリース:trail fleece、シャツ:delta S/S