TRANSITの旅にKarrimorを。スイス篇

世界中を旅するTRANSITが、毎号karrimorのアイテムとともに旅をした裏話を公開。今回、hot crag 30のタイプ2とともに向かった先は、スイスアルプスのなかでも美しい峰々が連なるベルナー・オーバーラント地方。湖畔の街インターラーケンを拠点に、ユングフラウ三山を望むシーニゲ・プラッテや、シグリスヴィルのユスティス谷で開かれるチーズ分配祭りなどを巡りました。

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ふたつの湖に挟まれた街、インターラーケン

チューリヒから鉄道で約2時間のインターラーケンは、ブリエンツ湖とトゥーン湖に挟まれたベルナー・アルプスを望む街。旧市街を通りぬけながらの、アーレ川沿い散策が気持ちいい。神秘的な水の色は、氷河や湖に岩の微粒子が溶け込んだ水が、太陽があたることによって輝くのだそう。

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シーニゲ・プラッテ鉄道で雲の上へ

ヴィルダースヴィル駅から山岳鉄道に乗って向かうのはベルナー・オーバーラント三山のビュースポット、シーニゲ・プラッテ。標高約2000mの頂上駅とを約50分かけてつなぐ。車窓にはふたつの湖とインターラーケンの街並みが広がっている。放牧されている牛も見かけた。

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スイス・アルプスの大パノラマ

春先から初秋にかけて運行するシーニゲ・プラッテ鉄道。トレイルを歩くハイカーや高山植物園に向かう人、頂上レストランでランチをする観光客をのせてゆっくりと進む。奥に見えるのは下流のトゥーン湖で、山の斜面にひらけた鮮やかな黄緑色の土地はアルプ(牧草地)。

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シーニゲ・プラッテ駅のユニークなサービス

絶景を楽しめるハイキングスポットとして多くの登山客が訪れるシーニゲ・プラッテ。駅構内には、ドイツ創業で100年近い歴史を誇る老舗ブランドLOWA社のハイキングシューズ・テストセンターがあり、幅広いサイズのストックから自分に合ったシューズを貸してくれる、アルプスの国らしいサービスも。

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アイガー、メンヒ、ユングフラウが真正面に

シーニゲ・プラッテから眺めるベルナー・オーバーラント三山。中央の修道僧(メンヒ)が、左に聳えるアイガー(鬼/男性)から若い娘(ユングフラウ)を守っているのだという。3つの山中を、ヨーロッパで最も高い位置を走るユングフラウ鉄道が通っている。

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山頂で絶品ランチを堪能

山頂レストランで食べたグラーシュとパンの昼食。グラーシュは中・東欧地域でよく食べられる、お肉や野菜がたっぷり入ったシチュー。濃厚だけれどトマトベースなので酸味もあって美味しい。ユングフラウ鉄道が悪天候により運休だったこともあり、訪れた当日は大混雑していた。

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穏やかなトゥーン湖畔の風景

ベンチに腰掛け読書する初老のカップルやスラックラインに興じる若者が、とても生き生きと輝いてみえる。訪れた9月半ば、山はすでに秋を迎えていたが、街の日中は穏やかな気候。湖畔では水着姿で日光浴を楽しむ女性グループの姿もあった。夕方訪れたトゥーン湖畔にて。

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“スイスのピラミッド”を望む

トゥーン湖畔から山の斜面にかけて広がるシグリスウィルは、人口5000人に満たない小さな村。対岸に聳えるのはニーゼン山。スイスを代表する画家パウル・クレーやフェルディナンド・ホドラーの絵のモチーフにもなった山。インターラーケンからはバスでアクセス可能。

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人よりも多い牛の数

シグリスウィルの酪農家の家ではたいてい7~8頭の牛を飼っている。牛たちは夏は牧草地の草を食み、冬は厩舎で干し草を食べて過ごす。村を散策しているとブロンドヘアのかわいらしい少女が牛と戯れている光景に遭遇。『アルプスの少女ハイジ』さながらの世界が広がっていた。

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動物たちの楽園

牛以外にも、山羊や鶏、豚などを家畜として飼っている家が多い。どの動物も本当にのびのびと、気持ちよさそうに暮している様子が伝わってくる。宿泊していたロッジのご主人が、「動物園みたいでしょ?」と笑った。たしかに、聞いたこともないような鳴き声がよく聞こえた。

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朝食は365日チーズとパン

スイスを代表するチーズのひとつ、エメンタールチーズは香ばしくてほんのり甘い。何枚もスライスしてパンと一緒にいただいた。ロッジで供された朝食は、新鮮な空気と目にも鮮やかな景色のなかで食べる相乗効果からか、シンプルながらも格別な味わいだった。

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300年続く伝統の「チーズ分配祭」へ

スイス伝統のチーズ祭が開催された、ユースティス・タール(谷)。このひと夏の間にアルプで搾乳したミルクを酪農家が持ち寄り山小屋で作られたチーズが、各酪農家にミルクの生産量に応じて分配されるイベント。民族衣装を纏った人びとや観光客が集う会場はまさにお祭り騒ぎ。

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次々と運び出されるチーズの塊

民族衣装をまとった男女が小屋からバケツリレー方式で丸い大きなチーズを運び出すメインイベント。ひとつ3~5kg程度ものチーズが、いくつもの塊に積み上げられていく様子は圧巻。このあとチーズはミルクを生産した酪農家に平等に分配されるのだという。

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民族衣装を纏った少年

牛モチーフのベルトを巻き、花の刺繍があしらわれた衣装を纏う少年。深い霧の立ちこめる森の、苔むした岩にちょこんと座っている光景はお伽の世界のよう。あどけない顔立ちの少年少女も、民族衣装を纏うと凛々しい立ち居振る舞いになるから不思議。

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トラクターの荷台が移動式カフェに

酪農家たちのトラクターも、生花が飾られるなどこの日は晴れ舞台。荷台ではチーズやパン、ワインが販売される。売り子たちの民族衣装見物も楽しいが、さまざまなチーズを食べ比べできるのはもっとうれしい。しばらくするとヨーデルの歌声が響き渡り、会場の熱気は最高潮に。

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夏の終わりを告げる「牧下り」

ユースティス・タールでの分配祭のあとに行われた「牧下り」と呼ばれるイベント。牛たちは牧童にともなわれ、夏を過ごしたアルプからシグリスウィルへと下る。たくさんのミルクを出した牛は花冠で飾られ、祝福される。翌日から牛は寒い冬を越すために村の厩舎で暮らすのだ。

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karrimorとスイスを旅して

TRANSIT 編集部
ヨーロッパのおよそ“心臓”とも呼べるほどに中心部に位置するスイス。内陸国で、かつ日本の九州ほどの面積を抱く小国ながら、深い歴史と確固たる産業をもち、また国際機関や金融の中心でもあるなど、その表情はとても多彩。なかでも国土のおよそ6割を占めるアルプスを巡った。起点となるインターラーケンの街から山岳鉄道で向かったのは、アイガー、メンヒ、ユングフラウの三峰を正面に望むシーニゲ・プラッテ。車窓の景色を楽しみながら、山頂駅では近くの植物園を散策。また、シグリスヴィルのユスティス谷では「ケスティレット」と呼ばれるチーズ分配祭に参加した。スイスアルプスに広がる自然の造形美と人びとの営みに触れた、1週間の旅。


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掲載号

TRANSIT30号 美しきスイス・オーストリア

2015年10月30日発売
価格:1713円(+税)

TRANSITの旅にkarrimorを。

世界中を旅するTRANSITが、毎号karrimorのアイテムとともに旅をした、誌面には掲載されていない取材の裏話を公開しています。

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