四国ボルダリングツアー〜ボルダリングとファミリーキャンプ〜【アンバサダー 稲田千秋】

四国には、小豆島や大堂海岸など人気のクライミングエリアがいくつかあり、観光とセットで訪れてみたい場所でした。今回は赤ちゃんを連れて家族3人、約1週間のキャンプ旅です。

四国にはボルダリングエリアも多数あります。今回は、かねてから行ってみたいと思っていた「黒潮ボルダー」と「仁淀ボルダー」をめぐってみることにしました。こうした「トポ」と呼ばれるルート図集には、岩場の開拓の歴史や、マナー、思想などのクライミング文化を知ることのできる文章がのっており、読み物としても面白いです。

山梨の自宅から約700kmのロングドライブです。行きは大阪周辺の渋滞にハマって途中で力尽き、明石海峡大橋のたもとにある「道の駅あわじ」で1泊(車中泊)しました。

四国に入ってまず訪れたのは桂浜です。有名な坂本龍馬像は、思っていたよりだいぶ巨大でした。

そして目指すキャンプ場は、桂浜のすぐ近くの「種崎千松公園キャンプ場」です。

とても快適な無料キャンプ場でした。まずはここに2泊して、周辺の「黒潮ボルダー」と呼ばれるボルダリングエリアを巡ります。

「黒潮ボルダー」で有名なのは、てっぺんに1本の松の木が生えている「松風」という課題です。

地面から松の木へ向かってちりばめられた自然のホールドが、奇跡的に面白い課題を作り出しています。こうした、岩という自然物と、それを登攀対象とするクライマーによって生み出された芸術作品とも感じられるラインは、ボルダリング課題における傑作といえるでしょう。

土佐グルメを楽しむなら、「ひろめ市場」がおすすめです。「大人のフードコート」のような楽しい場所です。土佐名物「カツオのわら焼き」は、目の前で鰹を一尾まるごと藁に包んで焼き、タタキにしてくれます。黒潮町産の天日塩で食べるのがおすすめ!分厚〜い絶品タタキをいただいて、クライミングで壊れた筋繊維を修復です!

黒潮ボルダーでは、他に大山岬というエリアでも遊びました。

以前行った鹿児島の岸良ボルダーと似て、ごろごろの下地に巨大なボルダーが転がるエリアでした。マット2枚でトライする勇気がわかない課題も多く、堤防上の道沿いの岩や下地のいい岩を選んでトライしました。

三日目からは、仁淀川町に移動しました。「仁淀ブルー」と呼ばれる清流での川遊びも今回の旅の目的のひとつです。10月ということもあり、沢登り用のウェットスーツを持参して泳ぎました。

こちらもやはり無料キャンプ場が周囲にいくつかあります。そのなかのひとつにベースを張って、計4日間、ボルダリングと川遊びとキャンプを満喫しました。

近いうちに3人で海外遠征も計画中なので、今回はその練習旅でもあります。

大人だけなら一週間くらいお風呂に入らないこともありますが、今回は数日おきに銭湯へ行ったり、河原でお湯を沸かしておチビの沐浴をやったりしてみました。試行錯誤も楽しい時間です。

10月の高知県は寒すぎず暑すぎず、ファミリーキャンプにはちょうど良い季節だと思いました。少しだけ蚊はいましたが、ヘッドライトにまとわりついてくるような虫も少なく、総じて快適でした。近場のローカルスーパーに通ってキャンプ飯もエンジョイしました。

肝心のボルダリングですが、今回は4日間で「仁淀ボルダー」の「フューチャーエリア」「大渡エリア」「R33魔空エリア」の3つのエリアをめぐりました。

岩質は主にチャートで、東京の御岳渓谷に似ていますが、個々の岩が大きく高さがあったり、下地が悪かったりと、全体的にはより中上級者向けの岩場という印象を受けました。

エリアや岩を選べば、産後のリハビリにもちょうどいい課題を見つけることができましたが、調子を戻してからまた登りに来たいなと思える魅力的な課題がたくさんありました。

最後に徳島県に立ち寄って、祖谷のかずら橋などを観光して帰りました。四国では、クラッククライミングやマルチピッチなども楽しむことができ、行ってみたい岩場がほかにもたくさんあります。もう少し長めの日程でツアーを組んで、再訪したいと思います。 (※本記事は、2022/10月頃のレポートです。)

稲田 千秋

稲田 千秋(いなだ・ちあき)形成外科医、クライマー。学生時代から登山、クライミングに熱中し、季節やジャンルを問わず様々なスタイルでフィールドアクティビティに興じる。現在はフリーランスで世界中を旅しながらクライミングを楽しむ傍ら、国際認定山岳医として、日本の山岳医療発展のため活動する。2016年 Yosemite国立公園 El Capitan "The Nose"完登。2019年 ペルーアンデス Alpamayo "French Direct"登攀など。

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