ヨーロッパアルプスでのクライミング〜美食と銀嶺の楽園フランス・イタリア〜【アンバサダー 稲田千秋】

山好きなら、誰もが一度は憧れを抱くヨーロッパアルプス。近代登山発祥の地として長い歴史をもつ本場アルプスには、山と自然を愛する文化が根付いており、人々の生活のすぐ近くに山や岩があります。私たちのような山好きにはこれ以上なく居心地の良いパラダイス。今回は、そんな楽しい旅の記憶をご紹介します。

ヨーロッパ中央部を東西に横切る巨大なアルプス山脈は、多数の国にまたがっています。私が訪れたことがあるのは、スイスとフランス、イタリアです。学生時代に行ったスイスでは、マッターホルンに挑戦しましたが敗退しました。またいつかリベンジしたいですし、スロベニアやオーストリアにも行ってみたいですね。

イタリアで今回ご紹介したい場所は、日本人にはあまり知られていない巨大なロッククライミングエリア”オルコ谷”です。

イタリアの北西部に位置し、フランスとの国境近くにあるGrand Paradiso(グラン・パラディーゾ)国立公園を中心として岩場が多数点在しています。私たちは9月に行きましたが、クライミングにはちょうどいい気候で天気も安定していました。

空港から2、3時間のドライブでベースとなるCeresole Reale(チェレゾーレ・レアーレ)の村に到着します。標高は1600mぐらいで、周囲は3000m以上の山々に囲まれています。

メインエリアとなるSergent(セルジャン)は、300mくらいの片麻岩の1枚岩で、様々なサイズの美しいクラックがよく発達し、フェイスやスラブもあって花崗岩に似ています。国際トラッドクライミングミーティングが開かれるほど、たくさんのマルチピッチが楽しめます。ヨーロッパ中からクライマーが集まってきます。

クラックはもちろんですが、岩資源はとにかく豊富で、スポーツルートもボルダーも沢山あります。オールラウンドに登る方には色々楽しめてとても良いと思います。

そして旅の楽しみの一つと言えば食事です。流石はイタリア、生ハム、チーズ、ワインがとにかく美味しいです!しかも、日本だったらデパ地下のちょっと高級な売り場にあるようなハイクオリティなものが、驚くほど安いです。ワインは数百円のものでもとっても美味しくて、しかもたくさん飲んでも全く翌日に残りません。たった数日で一生分くらい頂きました(笑)。

風光明媚な岩と美食のパラダイス。是非一度訪れてみていただきたい、素敵な場所でした。

フランスでご紹介したいのは、登山のメッカともいえる”シャモニ”での暮らしとアルパインクライミングの様子です。3月から4月ころがアルパインクライミングの一番良い時期になります。

ケーブルカーのAiguille du Midi(エギーユ・デュ・ミディ)駅が見下ろせる中心地の宿に1ヶ月滞在して、毎日天気予報と睨めっこしながら過ごします。

グランドジョラスやドリュなど、行きたかった山には行けませんでしたが、いくつかのルートにトライし、合間でスキーやドライツーリングなども楽しみました。

氷河が削り出した芸術作品に囲まれて、長く登りごたえのあるルートを攀じる時間はまさに至福の時です。

思い返すたび、「また行きたい」「もう一度登りたい」という気持ちが湧き上がってくる、そんな場所です。

天候が悪く山に入れない日も、洗練された観光地”シャモニ”の街歩きがまた楽しいです。

宿で自炊したり、カフェに行ったり、憧れのながーいフランスパンを抱えて帰ったり。

もちろんアウトドアショップも沢山あるので、日本では手に入りにくい登山用品のショッピングも楽しみのひとつですね。

人と山が共存する場所、ヨーロッパアルプス。また必ずこの地に登りに来たいと思います。

稲田 千秋

稲田 千秋(いなだ・ちあき)形成外科医、クライマー。学生時代から登山、クライミングに熱中し、季節やジャンルを問わず様々なスタイルでフィールドアクティビティに興じる。現在はフリーランスで世界中を旅しながらクライミングを楽しむ傍ら、国際認定山岳医として、日本の山岳医療発展のため活動する。2016年 Yosemite国立公園 El Capitan "The Nose"完登。2019年 ペルーアンデス Alpamayo "French Direct"登攀など。

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