mountain journal vol.11 MT.KINABALU(前編)はこちら
キナバル山登山の2日目、ついにアタックです。読者のみなさまには、前夜の高山病がどうなったか気になっている方もいらっしゃるハズ…。僕自身、もうダメ…とベッドに倒れこんだ次第。正直同行者にカメラを託して山頂の様子を記録してもらおうと思ったくらいなのでありました。
寝た!と思ったのもつかの間、AM1時過ぎにはそこかしこで目覚ましが鳴り始め…。ムクッと起きが上がってみると、意外なことに頭の痛みはだいぶ和らいでいるよう。とりあえず、再び高山病が出てこないようにスローに活動を開始。もちろんあたりは真っ暗!
小屋の外に出てみると登山者が列をなして山頂を目指していました。ヘッドランプの灯りだけが一列に伸びています。ついにアタックがスタートしたのです。
ほどなくして森林限界を超え、岩だけの斜面に到達。頭上には満天の星空! 昨晩はスコールに降られたりと実は天気も心配でした。きっといい朝焼けが見れるのではと、心なしかペースもあがります。
気づけば標高は3800mと富士山超え。ぐんぐんと高度が上がっていきますが、熱帯なだけあって薄手のダウンを着ているだけでも十分。
だんだんと明るくなってきました。写真のロープは安全確保というよりも、ルートを見失わないため。ロープがなければ本当にまっ平らなので行き先を見失いそう。すでに山頂に到達している人がいるようですね。
振り返ってみるとこんな感じ。サウスピークがちょこんとそびえています。ちょうど写真の真ん中あたりから登ってきました。
ついに山頂へのとりつきへ。ここからは手を使うこともあるスクランブルな感じ。文字通りよじ登っていきます。あとちょっと!
登っているルートの右側から太陽が昇ってきます。熱帯らしいダイナミックな雲、濃い色の朝焼けが感動的!
反対側には影富士ならぬ、影キナバル。山容が影になって伸びています。ずーっと遠くまで飛んでいきたくなるような景色。本当に一瞬だけの、奇跡の風景です。
登頂!4095mの山頂に立つことができました。山頂、そして世界遺産を示す看板が立っていました。まわりには登頂を祝う人たちがぎゅうぎゅう。なんとか写真を撮らせてもらいました。
4000m峰とはいえ、小屋もあるのと気温がそれほど低くないのでデイパックでも十分。〈trim 20〉に加え、カメラバッグとして〈VT hipbag〉を携行しました。本当にコンパクトな装備で登れるのも嬉しいところ。
山頂で同行者を待って記念撮影をして、下山開始。今日は登山口まで戻らなければならないのです。先ほど登ってきたルートですが、雲海が広がってきれい…。しかも山麓は一面のジャングル。なかなかの高度感を味わいながら下山します。
途中のチェックポイントまで戻ってきました。厳しい人数制限のあるキナバル山では、山頂の手前にもゲートがあります。パスを見せて戻ったのをチェックしてもらいます。
登りでは暗闇で見えなかったルート。この高度感!下山とはいえなかなか楽しませてもらいました。
麓は雨が降りそうだったので登山口まで一気に下山。山行をサポートしてくれたリュックとヒップバッグ。ありがとう!
さて、せっかくなので「旅」としてのボルネオもちょっとご紹介。マレーシアはイスラム教徒の多い国。モスクはその象徴ですね。ちなみに、先住民なども含まれるマレー系や華人などで構成される多民族国家。ガイドの方は山岳民族でした。
街での大きな楽しみのひとつ、シーフード! 場所は変わりまして、サンダカンの海上シーフードレストラン「SIM-SIM 88」へ。ちなみにキナバル山の登山口から4時間の車移動。甘辛な味付けが疲れた体に染み入ります…。
ボルネオといえば野生動物! その代表格はやはりオランウータンでしょうか。サンダカンのセピロックオランウータンリハビリテーションセンターでは、保護された半野生のオランウータンを間近で見ることができる。
コタキナバルの名物のひとつ、サンセット。海岸線を散歩しながら夕日を見るのはなかなかのもの。マーケットの賑わいもぜひとも体験していただきたい。ツーリスト向けのお土産屋さんはもちろん、現地の人たち向けの食材やレストランを巡るのも面白いですよ。
前・後篇にわたってご紹介してきたキナバル山登頂、マレーシア・ボルネオ島の旅の様子ですが、いかがでしたでしょうか。旅情感に加え、旅のしやすさはアジアのなかでもピカイチ。5日間くらいの旅程でも十分楽しめるのがボルネオの魅力。登山以外にもダイビングやエコツーリズムも人気のアクティビティです。日本の山とはひと味違ったアウトドアを楽しみたい方にはうってつけのフィールドです。日本人スタッフが更新している「サバ州観光局コタキナバルのコタキナコのブログ」は要チェックです。では、またどこかで。
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【ギア紹介】
●キャリーケース(airport pro 40):登山道具が少ないのと着替えも夏用のものだけなのでコンパクトに収まりました。
●リュックサック(trim 20):レインウェアや防寒のダウン、行動食などを携行。この容量で4000m峰にアタックできるのは魅力。
●サブバッグ(VT hip bag B):カメラバッグとして使用。ミラーレス一眼と交換レンズ数本がすっぽり入ります。
●ウィンドシェル(vector hoodie):ほとんど使用しませんでしたが、山頂付近では風が強いときもあるのであるとベター。
●レインジャケット(phantom jkt):樹林帯で雨に降られたときは大活躍。熱帯ゆえのスコールには要注意。
●トレッキングパンツ(light trekker pants):軽量で動きやすいもの、そして乾きやすいもの。虫もいるのでロングをセレクト。
●ショートパンツ(canyon shorts:山小屋はもちろん街などで使用。トロピカルアイランドの必需品。
●パッカブルダウン(voyager down jkt):アタック時のみ使用。基本的に熱帯には無縁のアイテムですね(笑)
●カットソー数点:汗をかくので着替えとして数着を携行。ホテルで洗って乾かすことも。
●ヘッドランプ:アタック時に使用。唯一といっていいアウトドアギア。
●カメラ: せっかくなら高画質で記録したい!という方にはミラーレスがオススメ。