+karrimor vol.8 スコーミッシュ・カナダ/松永純一さんとAR10

北米大陸でも有数のクライミングスポットとして知られるスコーミッシュ。巨大な一枚岩「チーフ」に代表されるようなクライミングスポットが無数に点在し、世界中のクライマーを惹きつけてやまない、いわば聖地のような場所です。現地で、冬季はヘリスキー、夏季はクライミングやトレッキングのガイドとして活躍している松永純一さんに、クライミングスポットを案内してもらいました。

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バンクーバーから車を走らせること約2時間。風景はあっという間に大自然! 冬季はスキーヤーたちが集まるウィスラーへと到着しました。「カナダに来たならまずはウィスラーへ」と、カナダ西海岸らしい風景が広がる「Harmony Lake Hiking Trail」へ向かいました。ロープウェイでアクセスできることもあり、雄大な景色を見ながら気軽にハイキングができるとあって人気のスポットのひとつ。

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ウィスラー山とブラッコム山を繋ぐゴンドラ「Peak to Peak」に搭乗。全長4.4kmもあり、谷間からの高さはなんと世界最高の436m!しかも全長4.4kmのうち約3kmは支柱がないのも世界最長。スリリングでもあり、神秘的でもあり、まるで山間を飛んでいるような気分。

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ウィスラーやスコーミッシュ周辺にはクライミングスポットがたくさん。岩質は主に花崗岩。クライミングには最適な地質でもあるのです。難易度もさまざまあり、レベルにあわせてゆったりと楽しめるのも魅力。なんといっても、アクセスが楽なのも嬉しいポイントです。車を駐車場に停め、ギアを持ってアプローチしていきます。
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まずはクラックにトライ!スコーミッシュのSmoke Bluffsにある「Laughing Crack」を登ります。良質なクラックのルートが多いのもこのエリアの特徴。北米らしい、冷たくカラッとした空気のなか準備を進めます。

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「Laughing Crack」のグレードは5.7。難易度こそ低いルートですが、岩の割れ目(クラック)に手を入れて登っていくクライミングスタイルの練習には最適。しかも結構な高度感もあり、存分に楽しめる良ルートでした。

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松永さんの腰周りのギア(カム)。クラックに挟みこみ、プロテクションとして使用します。ボルトがないルートも多く、岩場を知り尽くした熟練のガイドに案内してもらうのがオススメ。
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「初心者の方でも登ることのできる〜5.8くらいのルートもたくさんあります。トレッキングや観光に来た人を案内することもあるのですが、ここでクライミングをはじめてハマってしまった人も多数。そのくらい気軽に楽しめるアクティビティなんです」と松永さん。最高の思い出を持って帰ってほしいと、楽しいガイディングをしてくれました。
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スコーミッシュの大きな魅力はシングルピッチ意外にも、マルチピッチのルートがたくさんあること。半日、一日と、長時間にわたって攻めていくルートも多数。そんなときに活躍するのが〈AR8〉。本来はトレイルランニング向けに開発されたモデルなのですが、軽量性と体への密着感、ハイドレーションやポケットなど多彩な機能も相まって、クライミング時にも活躍すると人気を集めています。

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次のルートは川沿いのCheakamus Canyon、切り立った岩にある「Star Chek」というルート。渓谷を眼下に望み、まずは懸垂下降でスタートポイントへ。
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いきなりの高度感にヒヤっとします。轟々と流れる川の音が谷間に響くなか、ルートを確かめながら降りていきます。ロープワークやギアの使い方も細かく教えてくれる松永さん。最高のルートを楽しみながら、クライミングのテクニックもステップアップできるのも魅力です。

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「Star Check」のグレードは5.9。3〜4ピッチのマルチピッチのルートです。プロテクションを取りながら、ゆっくりと登っていきます。
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2ピッチ目は絶景! 渓谷に突き出るように切り立った岩を登っているのがよくわかります。早朝にスタートし、渓谷に射してくる朝焼けを見ながらのクライミングは気持ち良いの一言。

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そしてスコーミッシュの象徴ともいえる一枚岩「the Chief」。「真ん中に見える白い模様が、ホウキに乗って飛んでいる魔女に見えませんか?ほかにも、シェリフズバッジ(警官のバッジで星型)とも言われています」と松永さん。この巨大な岩山に挑みます!

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トライするルートは「diedre」。6ピッチでグレードは5.8。ルートのほとんどはスラブとクラック。つま先のフリクションで進んでいくスラブでヒヤヒヤし、力一杯レイバックで登るクラックでヘトヘト!

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眼下に見下ろすハイウェイ、スコーミッシュの街並みが高度感を煽ります。ハイウェイ手前に見える駐車場から歩いてアプローチ、岩の麓にある森のなかからクライミングスタートしました。このダイナミックな光景のなかクライミングできるのはやはりスコーミッシュならでは。

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この高度感のなかでスラブを登るのは結構スリリング! 登っているときは必死ですが、プロテクションを取ったときにはスコーミッシュが一望。「日差しが強いので暑いので水分補給もしっかり。ボトルは落としてしまう危険もあるので、〈AR8〉のハイドレーション機能が便利ですね」

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たっぷりとクライミングを楽しんで下山。カフェやレストランなど、街がほんとうに近いのもスコーミッシュならでは。「ここに住んでいれば仕事帰りにクライミング!なんていうライフスタイルもできますよ」と松永さん。羨ましい限りです。日本からはバンクーバーへ空路、レンタカーやバスなどでアクセスできるとあって、アプローチも比較的容易。クライミングの本場・スコーミッシュ、オススメです。

profile

松永純一(まつなが・じゅんいち)

カナダ・ウィスラー在住のロック&スキーガイド。冬季はヘリスキーでバックカントリーを攻め、春〜秋はクライミングやトレッキングなど、カナダ西海岸のスポットをガイディング。
http://www.whistlercanadianguide.com/

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