karrimor mountain journal vol.3 西伊豆

今回、はらぺこガールがぎっくり腰のためお休み。そのため、代打でRUCが担当します。これを期に『mountain journal』は人員を増やし、幅広い山行やアウトドアアクティビティをお届けできればと思います。ちなみに、はらぺこガールは順調に回復しておりますのでご心配なく。

企画第3弾は「公共機関を使ったリュックで行くキャンプ」。キャンプの醍醐味と言えば「焚き火」と「料理」、と思っているのですが、どちらも突き詰めていくと、すべての荷物をリュックに詰め切るのは至難の技、というか無理。というのも、いわゆるキャンプでは、重量や大きさは考えずに快適性を重視したギア選びをしていることがほとんどだから。キャンプといえば車を使うのが一般的ですよね。そこで第3弾のテーマとなるリュックキャンプでは、どこまで快適性を維持しつつ、キャンプの要素をリュック一つにどれだけ詰め込めるかが最大のポイント。では早速ご覧ください。

まずはルート選び。キャンプだけではなく、登山も楽しみたい! というワガママ条件でルートをリサーチしてみると、キャンプ場内に登山口があり、さらに海も見えるという好条件の雲見オートキャンプ場を発見。肝心のリュックサックは電車とバスを使うためなるべく大型リュックは避けたい(もちろん大型であれば荷物をたくさん携行できますが、機動性も確保したい)。そのため、今回はkarrimor WONDER LABO vol.1で紹介した万能40リットルのintrepid 40をセレクト。ギア類はミニマムにしつつも、キャンプを十分楽しむ要素は削らない方針でなんとかパッキングを完了し、いざ西伊豆へ。

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JR東海道本線と伊豆箱根鉄道駿豆線を使い修善寺駅へ。駅は改装されたばかりなのかとても綺麗。駅に隣接するバスターミナルで雲見オートキャンプ場へのルートを確認。ここから2本バスを乗り継いで目的地へ。

mj_984_492_3バスの乗り換え場所「松崎」で今夜の食材を調達。出発前夜、伊豆なので料理はやはり魚介類かなと思いつつ、バスの車窓から海を眺めつつ心の中で決定。松崎で降りると、日差しがかなり強く、海が近い事もあり潮の香りを感じました。なんだか夏です。
案の定スーパーでは新鮮な魚介類が豊富に売られており、地の物でメニューを組み立てることに。下田で採れた金目鯛中心に魚介類と野菜を買い、スーパーを後にします。食材は現地調達と決めていたので、物量が不確定。そんな時活躍するのが、カリマーのmars tote。開口が大きく、どんな形状の荷物にも対応できるのがGOOD。またポケッタブルなので使わないときはコンパクトに収納できます。
リュックはすでにパンパンのため、早速mars toteに食材を詰め込み再び次のバス停へ。30分程バスに揺られ、雲見入谷バス停に到着。バス停には近辺地図があり、ルートを確認すると、キャンプ場までここから歩いて30分。電車で約3時間、バスで約2時間、待ち時間及び買い物で1時間。すでに出発から6時間。結構旅感あります。

mj_984_492_3_2バス停からキャンプ場まではアスファルトで舗装されいますが、ほとんどが上り坂。しっかりと荷重を支える事ができるintrepid 40のヒップベルトが肩への負担を軽減してくれます。また〈intrepid 40〉のエアスペースと、背中から通気性のある中綿と背面素材で体内の湿気を逃がすことが可能なactive insulation jktが快適さを維持してくれました。
キャンプ場に着くとそこには疲れも吹き飛ぶ絶景が広がっていました。海から吹き付ける涼しい風がとても気持ちいい…。しばし景色を目の前に休憩。受付を済ませ、テントを設置し荷物をデポ。隣にはなんと露天風呂が。登山後が楽しみですね。

mj_984_492_4テントを設置した場所のすぐそばには高通山(標高500m)への登山口が。畳んで持ってきたトレイルランニング用のAR 10に荷物を詰めて、早速ハイキングスタート。

izu_984_800_5歩きはじめると、普段登っている山とは違う景色が目の前に。本州とは異なる深い植物がどこか南方の匂いを感じさせます。シーズンではないため登山道が整備されていないせいなのか、ツル系の植物が山を覆ってる印象が強く、神秘的な感じ。

mj_984_4925_2進むにつれて、次第に常緑樹は登山道を覆い、獣道のような様相。途中イノシシを見かけました。これで甲高い鳥の声でもすれば、まさに太古のジャングルのよう。設置された木道からは新芽がニョキニョキ。癒されます。

mj_984_492_6濃密な植物の匂いが心なしか酸素を多く感じさせますが、それ以上にもの凄い湿気…。排気が追いつかずジャケットを脱ぎTシャツに。距離にして頂上まで1.3kmと短いながらも終始つづく急坂が体力を消耗させます。伊豆は黒潮の影響か気温も湿度も高め。

mj_984_492_7頂上付近は道が全く見えず、藪漕ぎ状態。かすかな道筋を頼りに分岐点に到着。このまま海沿いに波勝崎まで行く予定でしたが、ルート探しに時間が掛かりそうなので断念。 ※下山後キャンプ場の人に聞いたところ毎年10月頃に草刈りなどの整備を行う予定とのこと。

mj_984_492_8頂上に到着すると、一気に涼しい風が吹き抜け、とても気持ちがよかったです。ベンチがいくつか設置されていますが、草に覆われ木道のようになっているため座れず…。さっきまでの湿気が嘘のようになくなり、急激に体温が下がったのですかさずジャケットを着込み、絶景を堪能した後、下山。頭のなかはキャンプと夕飯でいっぱい。

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キャンプ場に戻ると日が傾きかけていたので、すぐさま火熾し。海風がいい感じに火力を上げてくれ難なく火は安定。ただ、風が止む気配がなく薪の消費が早いのに驚き。夕暮れのタイミングで露天風呂に入ります。海と山を見ながら、疲れを根こそぎ落とす。水道や温泉があるのもキャンプ場ならでは。贅沢です。

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日が暮れはじめたので早々に料理開始。一品目はタコのアヒージョ。
にんにくを刻み、オイルで香りがでるまで炒める。
登山時結構汗をかいたのでアンチョビは多めに。
新鮮なタコを一口大にカットし投入。最後にレモンをたっぷり絞り、
ディルを添えて完成。塩気が疲れた体に染み渡ります。

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二品目はアヒージョを作っている傍ら、
玉ねぎ丸ごと一個をアルミホイルで包み、焚き火の中へ。
とっても簡単。十字に切れ目を入れておくと食べやすいです。
オリーブオイルと塩で味付け。個人的にトロトロになるまで
長時間熱っするのが好み。

izu_984_800_12メインはサザエのツボ焼きと金目鯛のリゾット。アヒージョの残りオイルと白ワインで金目鯛を軽くソテー。一度取り出し、米を軽く炒め、水を足しながら炊いていきます。少量のフュメ・ド・ポワソンを入れ、金目鯛をのせてアルミホイルで蓋。気がつくとサザエが沸騰していたので醤油を垂らし、ナイフで肝まで一気にひねり出す。新鮮な証か、見た目より大きく、肝の独特な苦みが上品。食べ終わると焚き火台の上のスキレットから食欲をそそる匂いが溢れてきます。仕上げにディルを添えて、ギュッとレモンを多めに絞り完成。アルデンテの米とふんわりした金目鯛の食感が程よく混ざり合い、一気に完食。残った汁気は掃除がてらバケットで拭き取り、もうお腹パンパンです。

mj_984_492_tobira食後はコーヒーを飲みながら、焚き火いじり。風も止み、蒔がなくなるまで延々と火と戯れる。最高に贅沢で幸せな時間です。

mj_984_492_13さて、リュックひとつで行く「リュックキャンプ」。今回は焚き火や料理など、キャンプの楽しみはそのままに、山と海を同時に楽しむことのできる西伊豆らしさのあるハイキングも堪能できました。パッキングをコンパクトに抑えられた理由のひとつは、インフラが整っているキャンプ場をルートに組み込んだこと。とくく水まわりなどは負担を大幅に軽減できました。登山時のように水を持っていくことが前提だと、たぶんリュック一つ、というのは難しかったでしょう。さらに雲見オートキャンプ場の水場はお湯もでるので、スキレットを中心とした洗い物がとても楽でした。
実を言うと、出発前はかなり準備(荷物を削ること)に戸惑いました。しかし、キャンプ場や途中売店によることもできるため、思い切ったパッキングにトライするにはリュックキャンプはいい機会。基本的に登山で使っているギアはそのままに、焚き火台などのキャンプを楽しくしてくれるアイテムを持って行っていくことができました。ポイントはやはりキャンプ場をベースにすることで、食材や水などの荷物をデポできたこと。持ち運びはmars toteを 使っていることで、入りきらなかった分をカバーしています。食材を「現地調達」するのも、ベースとなる荷物を少なくするコツかもしれませんね。伊豆は低山ながら、起伏に富んだ山容はなかなか面白く、一味違った登山を楽しめるのも魅力。東京からのアクセスはそれなりに時間がかかりましたが、日程に余裕があればいろんなルートをつなぎながら歩くのも面白そうです。ともあれ、リュックキャンプ、クセになりそうです。ぜひみなさんも自分のリュックと一緒に試してみてください。それでは次回をお楽しみに。

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【ギア紹介】


●リュックサック①(intrepid 40 typeⅢ):フロントアクセスやエアースペースが快適性を高める中型リュックのハイエンドモデル。
●リュックサック②(AR 10):カリマーのトレラン用リュック。折り畳めるのでアタック用としても便利。
●トートバック(mars tote):開口が大きく、収納力抜群のポケッタブルトート。
●中綿ジャケット(active insulation jkt):背中から体内の湿気を逃がす行動時向けの中綿ジャケット。
●Tシャツ(archive T):速乾性が抜群Tシャツ。
●パンツ(light trekker shorts),(compact pants):とっても軽くて、はき心地が最高です。
●アクセサリ(rain 3L cap):3Lの防水素材を使用したレインキャップ。
●ワレット(VT wallet):ポケットが多く小分けになっているので、とても便利。
●レインウェア(boma NS W’s jkt):急な天気の変更に一着あると安心です。
●レインパンツ(boma NS slim pants (unisex)):今回は使いませんでしたが、レインジャケットと合わせて必携です。


●テント:MSRのハバHP ●シュラフ:NANGAのUDD BAG 280DX ●マット:サーマレスト ●小マット:サーマレスト ●焚き火台:MONORAL ●スキレット:LODGE 6.5インチ ●イス:ADIRONDACK ●マグカップ:MSR ●ナイフ:SPYDERCO ●ランタン(outdoortech) ●ミニパワーバンク(outdoortech):カメラや携帯で写真を撮る事が多いので、すぐに充電できるよう持っていれば安心のアイテム。●カメラ:NIKON COOLPIX P340。●食材:現地調達。 ●調味料類:オリーブオイル、白ワイン、塩こしょう、ハーブ類。


megane

RUC

性別:男性
登山歴:10年
趣味:波乗り・自転車・模型制作・映画鑑賞・ピラティス

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