アフリカ大陸最高峰キリマンジャロ(5,895m)登頂 〜山岳医として奮闘した6日間〜その2【アンバサダー 稲田千秋】

2020年2月、5名のお客様と共に成田空港を飛び立ちます。2回の乗り継ぎを含め、合計21時間超のフライトの末降り立った、異国の地タンザニア。そこで私たちを迎えてくれたのは、ワクワクするような景色たちと珍しい野生動物たち、そして陽気で暖かなマサイ族の人々でした。

初日の夜はホテルに宿泊し、翌朝から登山がスタートです。現地ガイドと合流してランチボックスをもらい、登山開始です! 標高1,820mのマラングゲートから6日間の旅は始まります。

熱帯山地林を進み、お昼には激しいスコールも! アフリカの空気を感じながらの4時間ハイクで初日は終了。標高2,730mのマンダラハットに宿泊します。

登山の楽しみの一つともいえる、野生動物との出会い。日本はもちろんのこと、ヨーロッパや北米・南米でも見たことのない野生動物がその姿を見せてくれました!

ポーターさんが運んでくれた数々の食材を専属コックさんが調理。朝昼晩と基本的に全ての食事を用意してもらえます。こんな豪華な登山、個人的には初めてですね!(アルパマヨで他ガイドパーティから恵んでもらったものを除き(笑))

毎朝モーニングティーとお湯を張った洗面器のサービスがありました! 至れり尽くせりです!

皆さんの健康状態、とくに高山病の有無を把握するため、高山病チェックシートと血中酸素飽和度の測定を毎日実施しました。登山開始前には、直線歩行や片足立ちをしていただいて、日々の変化にも注意を配りました。

2日目は標高3,750mのホロンボハットまで約7時間のハイクです。新築の宿泊棟はとっても快適でした!

身体を高度に慣らすため、続く登山3日目もここホロンボハットに連泊します。この日はゆっくり起きて、標高4,000m程度まで体慣らしの軽いハイキングのみです。

アフタヌーンティータイムで沢山水分をとって高山病予防です。

富士山とほぼ同高度ですが、流石はみなさん、低酸素室トレーニングなどの効果もあってかまだまだ元気です。それでも血中酸素飽和度はすでに平地より低く、小走りすると息切れを感じます。低酸素状態は、はじめ気づきにくいというのが注意すべきポイントです。

登山4日目、ついに最終宿泊地となるキボハットを目指して出発します。砂礫帯に続く一本道をゆっくりと、約6時間登ります。ついにキリマンジャロの主峰であるキボ峰が間近となりました!

ジャイアントセネシオは標高4,000m以上に生息するキク科の植物です。木に見えますが、巨大な草なんです! 中は空洞で、枯れた葉が分厚いマントのように重なって防寒しています。

そして25年ごとに1本枝分かれするのだとか。つまり、枝分かれの数を数えると何歳かが分かるのです。不思議な植物で、生態はまだよくわかっていないそうですよ。

キボハットの標高は4,703mです。ゆっくりとした動作でも酸素の薄さを感じます。17時から早めの夕食をとったら、いち早く登山準備をすませて仮眠をとります。22時半起床、23時半山頂アタック開始です。その後は夜間行動からの12時間を超える長丁場が待っているのです…。

ほとんど全員が(水が合わず?)お腹を壊し気味で、高所のせいもあり食が進みません。そんななか、日本の味は食べやすくありがたいものでした。次回はクライマックス、山頂アタックの様子をお届けします!

稲田 千秋

稲田 千秋(いなだ・ちあき)形成外科医、クライマー。学生時代から登山、クライミングに熱中し、季節やジャンルを問わず様々なスタイルでフィールドアクティビティに興じる。現在はフリーランスで世界中を旅しながらクライミングを楽しむ傍ら、国際認定山岳医として、日本の山岳医療発展のため活動する。2016年 Yosemite国立公園 El Capitan "The Nose"完登。2019年 ペルーアンデス Alpamayo "French Direct"登攀など。

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