麗らかな陽気が続き、ハイキングやお花見に出かけたくなる今日この頃。今シーズンの野山では、12月早々から強い寒気に覆われる日が多く、例年にない寒さと降雪が続きました。今からほんの数カ月前、東京出発直後の車窓に広がっていた雪国のような光景がなんだかとても遠い昔のようです。

都心から日帰りで行ける八ヶ岳にも、例年にないほど沢山の雪が降り積もりました。チェーンスパイクが大活躍していた山麓も本来の積雪に戻り、ワカンやスノーシュー(浮力を活かして雪上を歩く道具)を登山靴に装着して登る機会が多々ありました。 そんなピークハントにこだわらない雪遊びの思い出をいくつかご紹介します。

夕方になると、山麓のキャンプ場にも深々と雪が降り積もってきたこともあり、予定していた雪上焚火キャンプを早々に諦め、屋根の下で夕食を作ることにしました。ダッチオーブンの蓋の隙間から香る旨みと音、 炎のゆらぎや薪の弾ける音に身を委ねながら、優雅な時間が流れていきます。

ウェアをしっかりと着込み、暖を取り味わう熱々でジューシーな焚火料理は、最高のご馳走です。

本来ならば、シャベルを使って雪のテーブルやカマクラを作りたかったのですが、今年は雪がさらさらで固まらないとのこと。せっかくなので、バケツを使って手軽にできるスノーキャンドルでナイトキャンプを演出することに。ワインも冷やして、準備万端!

期待通りの新雪に恵まれ迎えた翌朝は、キツネやウサギ、シカの足跡が広がる静寂の森へ。いつもなら気軽にスノートレッキングを楽しむようなコースでしたが、今回はそう簡単にはいきません。ワカンを装着して、誰も踏み入れていない展望地まで圧雪しながら向かいました。

上部の八ヶ岳の主峰・赤岳は、すっかり雲に覆われています。爆風にさらされ、見上げていた場所でさえも画像では伝わらないほどの冷たい風に吹かれていました。

また、別の日の北八ヶ岳では、冬季閉鎖された国道299号をスノーモービルにまたがり、気楽に山小屋へ向かいました。春めいた風を感じながら、晴天の国道を走り抜ける爽快感!御嶽山や南アルプスを見渡せる快適なツーリングは、この時期ならでは。体力に自信のない方にもおすすめです。

山小屋をベースにすれば、午後からでも短時間で絶景が楽しめます。

帰りは、バックカントリースキーで国道を滑り降りることにしました。向かい風が吹雪く国道を出発した直後は、頬の冷たさもあり、思うように前進しないもどかしさを感じました。ここから6キロも大丈夫だろうかと。

標高が下がるにつれて、陽光の暖かさとともに滑り降りるスピードもアップ。充実感を味わっているところに冬季ゲートが見えてきました。

今シーズンは、積雪が多く、高所の山頂を目指さなくても楽しめるスノーアクティビティを存分に満喫できた冬でした。