氷の神殿やカーテン、氷瀑が美しいアイスブルーの世界。一年で最も寒い時季にしか見られない景色を求めて、2月の雲竜渓谷へ行ってきました。

世界遺産・日光東照宮近くの稲荷川源流部にある渓谷は、1月中旬から2月上旬頃にかけて、完全凍結した神秘的な景色が人気です。ところが今年の冬は、寒気が入る数日前まで春の様な陽気が続いていたため、今までの様な氷瀑が見られるかどうかわかりませんでした。人がまばらな早朝、乾いたアスファルト道や堰堤を超え、雪が舞う広い河原へ下りました。

渡渉中は、バラクラバ(目出し帽)としても活躍するインナー <cozy PG hoodie> のフードを被り、山から下りて来る冷たい風をしのぎました。河原に張った氷の厚みを確認しながら、何度も川を渡ります。恐る恐る石と氷上を渡っていた仲間も、終盤には余計な力が抜けて、笑顔で楽しむ余裕が出ていました。

数年前には無かった立派な砂防堰堤や台風の影響等により、稲荷川のコースもだいぶ変わっていました。

コース終盤、途中から履いていたチェーンスパイクを12本爪アイゼンに履き替え、ようやく雪と氷の造形美を楽しむ渓谷歩きが始まります。“友知らず”の氷壁に光が差し込むシャッターチャンス。ベストな年に比べると薄い氷でしたが、美しさに歓声が上がっていました。

以前は、神殿のような巨大な氷柱の裏側に入ることが出来た“つばめ岩”。残念ながら、鋭いツララが落ちてきそうで、とても人が近寄れる状態ではなくなっていました。

終盤の見どころ“雲竜爆”までは、トレッキングポールをピッケルに持ち替え、すれ違いたくない急傾斜や狭いトラバース。これまでのトレッキングコースとは違った緊張感の中、慎重に進みます。

圧巻の“雲竜爆”に到着。何か音が聞こえるな~と見上げていた瞬間、巨大な滝の上部の氷が割れ、水が噴き出してきました。ほんの数年前まで、厚い氷壁を登るアイスクライマーで賑わっていたことが、今では信じられません。ジャケットとパンツ <alpiniste jkt> <alpiniste pants> のジッパーを少し開放して、体温調節すると丁度良いくらいの陽気の中、雲竜爆を見上げながら暫く休憩しました。

正午前、まだまだ名残り惜しい時間でしたが、氷が割れる音が轟く渓谷を下ります。

帰りは、沢から離れて山コースへ。渡渉の緊張感から解放され、積雪を踏みしめ、気持ち良く下山。久々の雲竜渓谷は、近年の台風や暖冬の影響が如実に現れていましたが、この時期にしか見られないアイスブルーの世界は、やっぱり必見です!