「イングランドでおすすめのトレイルは?」と聞かれたら、迷わずおすすめするのがイングランド各地の海岸に沿って敷かれたトレイルです。国土の大半が山地の日本で生まれた私からすれば、海岸沿いを長々と歩くなんて起伏にかけるのでは?と思ったりするのですが、実際にイングランドの海岸を歩いてみると、その想像が間違っていたことにすぐに気づかされます。

イングランドのそれぞれのエリアにある素朴なトレイルは、今でもその長さを更新しているようで、数年後には全長4500kmにも及ぶ世界でも有数のロングトレイルになるのだとか。もちろん、軽い散歩や日帰りでも十分楽しめるルートは山ほどあるので、短期でイングランドを訪れた場合でもわざわざ足を伸ばす価値があると思います。

数多くある海岸トレイルのなかで、今回私がご紹介するのは、サーフィンが盛んでイングランドの中でも自然豊かな北デヴォン州のトレイルです。旅のお供は、CougarApex 70+のリュックサック。70Lの大容量リュックサックですが、背負い心地の良さから大きなリュックサックを背負っているというような重量感を感じないので、気温差によってダウンジャケットを着たり脱いだりを繰り返す冬のトレッキングにぴったりでした。

北デヴォン州の沿岸は、半島らしい切り立った崖になっている箇所が多く、その崖の際沿いにトレイルがあるため、海と岩のダイナミックな風景が町からすぐのところに広がっています。場所によっては、崖を下ってビーチへ降りられるところもあり、長い歳月をかけて侵食と堆積を繰り返してきた巨大な地層に囲まれた異世界へとトリップすることもできます。

これほど美しい場所なので、夏の観光シーズンにたくさんの人で賑わうトレイルもありますが、地元の人の散歩道としてしか使われていないトレイルもあり、気軽に町の喧騒から離れた静寂を楽しめることも魅力です。そういった場所は、犬を散歩している地元の人に聞けば、誰でも親切に教えてくれます。


崖沿いから少し内陸に入ると、イングランドらしい丘陵地に牛や羊が放飼されていて、また違った景色が広がります。時には、海辺は無風でも谷間は強風が吹き抜け、立っていられないほど風が強くなることでも有名です。CougarApexシリーズには、自分の体にフィットさせるためのSAシステム<サイズ アジャスト システム>が備わっているため、背負ったままでも楽に調整できるのがありがたいです。


また、ロングトレイルの面白さは、国立公園内を歩くこともあれば、多くの私有地や街を抜ける部分もあるところ。私有地である牧草地の入り口と出口には木製のドアがあり、家畜が隣の土地へ移動してしまわないようにきちんと開け閉めするのが誰もが知っているマナーなのです。

そして、トレイルの途中で一軒だけぽつんと建物があるとすれば、そのほとんどがパブなのがやはりイングランド。こういった田舎のパブは歴史深い建物が多く、どこでもそこで作られたローカルビールが楽しめます。パブを廻りながら歩くロングトレイル旅、なかなか先へ進まなさそうですね。笑

このルートで、木々の間を歩くのは、町から海岸へ抜けるスタートの一部だけで、その他は海や丘の光景がずいぶん遠くまで見渡せるとにかく開放的なトレイルです。道中、森がないため、陸の野生動物を見掛けることはほとんどありませんが、崖の下の海で泳ぐアザラシや、空中で餌を探す鷹に出会うことができます。

しかし、もしアザラシや鷹に遭遇することができなくても、イングランドで馴染みの深い小鳥、ロビンには必ずといっていいほど出会うことができるでしょう。どこからともなくいつも現れ、私たちを導くように一定の距離を保ちながらずっと付いてくる様子がとても愛らしく、イングランドの国鳥となっているもの納得の愛嬌の持ち主です。

ロンドンで暮らしていた3年間、知る機会のなかったイングランドのこの海岸トレイル。今ではすっかり魅了され、もっと色んな海岸を歩いてみたいと思うようになりました。次回イングランドを訪れる際も、頼りになるCougarApexと一緒に、新たな景色を発見したいです。