私の出身地である関西地方で、ありのままの雄大な自然を味わいたいときに訪れる大好きな場所があります。それは奈良県と三重県の県境にまたがる、大台ヶ原周辺の山々です。地図で見ると大阪からもさほど遠くないのですが、一旦山へ入ると細く曲がりくねった山道が続くため、車で2時間半はかかります。

今回のマイクロアドベンチャーは、川沿いでのんびりテント泊をし、翌朝から日帰りトレッキングをする1泊2日のプランです。住まいの京都からまず車で向かったのは、三重県大台町。大台ヶ原の東側(東大台)になります。大台ヶ原山(日出ヶ岳)へのアプローチには、東側(東大台)と西側(西大台)があります。西側は奈良県で、山頂の約100m下まで車でいけるほどしっかりと整備がされています。それに比べ東側は車数が少なく、いつ行っても静かな印象なので、個人的には東大台がお気に入りのスポットです。

大台ヶ原は、年間雨量3500mmという世界有数の降水量を誇っていることもあり、1日目の夜はあいにくの小雨。しかしそのおかげか、11月半ばのキャンプでもまったく寒さを感じず、とても快適に夜を楽しむことができました。テント泊は大台ヶ原山を水源とする宮川のほとりで。大台町は、この宮川沿いに無料のキャンプ指定地を数ヵ所しており、そこで自由に川遊びやキャンプをすることができます。そのありがたい計らいに感謝して、美しい川を今後もずっと保っていけるよう誰もが心がけたいものです。

これまで宮川には何度も川遊びとキャンプをしに訪れていたものの、その上流にある大杉谷へはまだ行ったことがありませんでした。というより、毎回川での時間を満喫しすぎて、腰が重くなっていたというのが本音です。(前回は寝坊で断念。) ですが今回は、何としてもこのさらに奥を探索するんだ!と自らを戒め、なんとか朝起きることに成功しました。(文面からお気づきかもしれませんが、早起きが大の苦手です、、)

大杉谷登山口に到着しました。紅葉シーズンということもあり、登山口駐車場が混んでいるのではないかと心配していましたが、前日が雨だったからか問題なく車を駐車し、念願の大杉谷トレッキングへ!

大杉谷登山口からは、通常1泊2日または2泊3日の行程で大台ヶ原山山頂を目指すのですが、今回は車で来たこともあり、途中までの日帰りピストンです。

登山口入り口から早速、鎖付きの岩場からスタートしました。昔訪れた、黒部渓谷の下ノ廊下を彷彿させました。

お目当ての紅葉は、、というとまだ少し早いながら、色づいた木々とエメラルドグリーンの透き通った川のコントラストが素晴らしく、歩き出してすぐに谷を降りて川の近くまで寄り道してしまうほどでした。

前半に3つほどの橋があり、こんな奥深い渓谷に立派な橋があることに関心しながら、どんどん先へ進みます。雲の合間から太陽が差し込み、黄色い葉っぱがキラキラと煌めく様子はずっと見ていられそうなくらいでした。

大杉谷登山道は緩やかなアップダウンと平坦地が繰り返されるとても歩きやすい道で、湿地帯らしい苔でいっぱいの岩の道や石垣の道など、変化に富んでいて飽きが来ません。

日頃から近所の山は頻繁に登っているものの、初めての場所を1日かけて歩くのは久しぶりで、「やっぱりトレッキングはいいなぁ」と再確認しました。

大杉渓谷の見所は、近づいたり離れたりする美しい宮川と、岩場から流れ出す滝です。まず最初に、落差135mのダイナミックな千尋滝という滝が現れました。頭上から降ってくるような滝の下の方はまさに絵に描いたようないくつかの滝壺になっていて、滝を眺めながらの贅沢なランチを取りました。

ピストンのトレッキングだと、引き返し地点を決めなくてはいけませんが、私たちの今回のお目当てはシシ淵という滝が流れ入る”淵”でした。

およそ2時間ちょっと歩いて辿り着いたシシ淵は期待を裏切らない神々しさで、やっと来れて良かった!そしてまた夏にきてここで泳ぎたいとすでに思わせるほどの川の美しさでした。標高差もさほどない渓谷沿いを歩き、少し上流に来ただけで、これほどまでに透明度が違うのかと驚きました。

しばらくここでゆっくり過ごしたあと、エリオットが目の前の川の美しさに耐えきれず、川の冷たさを物ともせず、水中へダイブしていたのは過去の私の記事を読んでくださった方にはご想像できる流れでしょう。
本当に美しい川や情景を見ると、次の世代にも、そのまた次の世代にも、この美しさを残していきたいと心から感じます。山に囲まれた日本では、こういった素晴らしい場所が少し足を伸ばした至る所にあることを、改めて身にしみて感じました。