アフリカ大陸縦断、8カ国目は、「アフリカの真珠」とも言われる自然豊かなウガンダ。私たちが訪れた11月は小雨季の時期だったため、若干憂鬱な心持ちでいましたが、実際は雨で潤った緑が一段と生き生きとしており、あえてこの季節に訪れるのも悪くないなと感じました。

ルワンダの西側から入国してはじめに立ち寄ったのが、海抜1,962mにある小さな島がぷかぷか浮かぶ湖、ブニョニです。朝早くに目覚め、テントを片付けていると、まだ薄暗い朝靄のなか小さな舟が一隻静かに現れました。舟によって緩く波打つ水面のグラデーションが美しく、それはまさに、思わずシャッターを切ってしまうような幻想的な瞬間でした。

雨季とはいっても、雨が1日中降り続く日はほとんどなく、自転車を漕いでいると1日に数回30分ほどの雷雨に見舞われるのが毎日のパターン。雨の降る気配もない青空から一変して、空がどんよりとした雲に覆われると、一気に大粒の雨が降り出します。大概はすばやく屋根の下に逃げ込み、雨が止むのを待つのですが、一度だけ熱帯雨林の続く道で肌に当たると痛いほどの豪雨に遭い、バケツの水を被ったかのようにびしょ濡れになりました。しかし、その後の照りつける太陽で一瞬にして全身が乾き、むしろシャワーを浴びた後のような清々しさを感じたのを覚えています。

ウガンダの路上での楽しみといってまず最初に思い浮かぶのは、私たちにとっては紛れもなく「フルーツ」です。これまでにもアフリカでは様々な種類の新鮮なフルーツを存分に楽しんできましたが、ウガンダのパイナップルはその中でも格別でした。信じられないほど甘くてジューシーなパイナップルが路上のどこでも手に入り、価格も大きさによって60〜90円ほど。あれほど質のいいパイナップルをおやつとして毎日食べられるなんて、何と贅沢だったのだろうと改めて思います。

熱帯雨林の減少が問題視されているアフリカ諸国の中でも、比較的緑が多いと感じたウガンダでは、サファリ内でなくても色々な生き物と出会うことができました。これほどカラフルな虫が路上にいたのは、南アフリカ共和国以来かもしれません。


また、自転車走行中にはウガンダの国旗にも描かれている国鳥のホオジロカンムリヅルに出会うこともできました。このウガンダの鳥が国鳥であることは後から知ったので、道脇にこんなにも巨大で煌びやかな2匹の鳥がのんびり散歩しているのを見て、思わず目を疑ったほどです。エリオットに関しては、ホオジロカンムリヅルの存在に気づかずそのまま横を通過し、後で写真を見せると案の定とても驚いていました。つい見過ごしてしまうほど、辺りの風景に馴染んでいたのかもしれません。

日々のサイクリングはというと、平坦で真っ直ぐな道はあまりなく、かと言って激しいアップダウンがあるわけでもない、ゆるやかさと変化を兼ね備えた独特のテンポを持つ道のりでした。少し小高い場所から見下ろす街並み、緑の少ない低地での焼けるような熱風、鳥の声しか聞こえない突如現れる熱帯雨林。何か目立った出来事が起こらなくても、路上の旅自体を楽しめる国だと思います。



ウガンダの政治は、30年以上同じ指導者によって独裁体制が続いています。アフリカでは長年高齢の指導者が権力を握り続けることが珍しくありません。ウガンダで印象深かったのは、その独裁政治を何とか終わらせようと、多くの若者が声を上げていることでした。急激な人口増加の進むウガンダの人口の約8割が、まだ30歳未満だと言います。2021年の大統領選挙は、いったいどうなるのか。この国の未来に一筋の光を感じているのは、私だけではないはずです。
