岩と雪の世界 ~アルピニズム発祥の地、シャモニー・モンブラン vol.1~【アンバサダー 京屋 仁】

ヨーロッパアルプスに憧れ、数年前までフランスのシャモニーに2年間ほど暮らしていました。

シャモニーはアルプス山脈の麓の渓谷に位置し、世界でも有数のリゾート地。夏は登山、冬はスキーと一年を通して多くの観光客が集まってきます。

町の中心にあるパルマ広場からは、アルプス山脈最高峰モンブラン(4,810m)を眺めることが出来ます。モンブランとはフランス語で白い山という意味で、その姿からはアルプスの白い女王とも呼ばれているほど美しい山です。

暮らしていた家は町から15分ほど離れたところ。家のすぐ後ろまで氷河が迫ってきています。

ヨーロッパアルプスは氷河に覆われている山が多く、登山の大半が岩と雪のミックスしたアルパインクライミングとなっています。

そのためアルパインの知識はもちろん、クライミングのスキルも必要となってきます。山に行かない日も岩場やジムでのトレーニングも大切です。

4,000m近くの高度でクライミングができるのもヨーロッパの大きな魅力の一つ。アプローチは3,900mまでロープウェイで行けてしまいます。

今回登ったのはエギュイユ・デュ・ミディの南壁にあるコンタミンヌルート(voie Contamine)。この壁の右下から左上に向かってスカイラインを登り、最後に右に回り込んでピークを踏むラインになっています。

赤茶けた花崗岩の一枚岩をどこまでも高く登り続けるこのルートは、初めてこの壁を見たとき以来、ずっと憧れでした。

ミディ展望台のテラスから懸垂下降して下の氷河に降りたところがルートの取付きです。ここで登山靴を脱いでクライミングシューズに履き替え、いよいよクライムオン! 出だしから花崗岩らしいツルツルなスタンスでなかなか厳しいです。

徐々に角度が変わってルートが立ち始めると、クラックも細くなっていきます。

ふと振り返れば、真っ白なモンブランが目の前に! モンブランを登る一般的なルートは2つあり、そのひとつが(La Traversée 縦走コース)と呼ばれ、写真中央の雪壁を超えて頂上を目指します。

ミディ南壁は超人気ルートが集まっているため、常に多くのクライマーが登っています。早く登り始めないと渋滞に巻き込まれなかなか進めなくなります。

ルートは終盤になるとさらに難しさを増します。ツルっとした急な岩壁のかすかな凹凸を拾って登るピッチは、純粋なフリークライミング能力が必要です。

核心部を抜けてピーク(3,800m)に出れば、眼下には展望台のテラス。観光客がこちらを指さして驚いたような表情をしているのが目に入ります。懸垂下降でテラスまで降りて、クライミングシューズを脱いだら登攀終了です。

今回はパートナーに助けてもらったことが多く、自分の力不足を実感しましたが、それでも最高の景色の中、美しい壁を登りきったことに満足です!

京屋 仁

京屋 仁(きょうや・じん)クライマー。長野を中心に活動。フリー、アルパイン、バックカントリー、トレイルランニングとオールラウンドに精通。 主な成果は小川山NINJA5.14a第11登、北岳バットレスDガリー奥壁オンサイトフリーソロ、八ヶ岳大同心大滝オンサイトフリーソロ。

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