昨年私が勤めている長野県山岳総合センターという施設で、長野県の里山No.1を決める「信州の里山総選挙<冬山編>というものを実施しました。そこで見事1位に選ばれたのは「霧訪山」という山。私自身登ったことがなく、とても気になったので今回登りに行ってきました。最近は小さい娘たちを連れて、家族で外岩ボルダリングに出掛けています。小さな子供がいると、場所を選ぶのも何かと大変。今回は家族でも安心してボルダリングが楽しめるおすすめのエリアをご紹介します。

霧訪山は長野県の真ん中にある塩尻市と辰野町の境目にある、標高1,305mの山です。アクセスがしやすく、中央道塩尻ICからも10分ほど。JR中央(辰野)線小野駅からは、徒歩で約30分の所に登山口駐車場があり、地元の方はもちろん、県内外の登山者に人気のある山です。この日も、私たちが到着した頃には既に数台の車が停まっていました。

登山口まで行くと大きな看板がありました。霧訪山には、このような看板や案内がたくさんあります。これらはすべて地元の方がボランティアで設置したもの。地元の人に愛されている山という事がわかりますね。

登山道の途中途中に見受けられた看板は、地元の中学生が作成したものだそうです。登山口のすぐ近くにある両小野中学行では学校登山の他に、登山道の整備も行っているとのこと。登山者としては非常にありがたいです。

登山口には登山ノートと書かれたポストのようなものがありました。通常登山口には、登山届を入れるポストが設置されていますが、これは登山届を入れるためのポストではないようです。

中には、一冊のノートとスタンプが入っていました。ノートには登山者名簿と書いてあり、中には登山者の名前と住所、日付などが書いてありました。登山届の代わりでしょうか?最近では里山登山がとても人気となっていますが、同時に里山での遭難も増えているので、里山登山であっても登山届って必要ですよね。

さて、ようやく登山開始。登り始めるといきなり急登が現れます。雪に覆われているためわかりずらいですが、階段になっており、かなりの長さです。帰りに数えてみると200段以上ありました。この日は気温が低く、登山道が凍っていたので軽アイゼンを付けて登りました。

霧訪山のコースタイムは登りで大体1時間ぐらいです。雪が積もっていたり、凍っていると歩きにくいので余分に見ても2時間あれば山頂に着けるでしょう。登山道の途中には、写真のような“山頂まであと何分”と教えてくれる看板があります。急登を登るときの励みにもなりますね。

信州の里山には山城の跡が多く残っていて、霧訪山にも「かっとり城址」という戦国時代の城跡があります。そのため、コースの名前も「かっとりコース」と呼ばれています。

基本的に尾根沿いのコースなので、ビュースポットも何ヵ所かあります。写真の遠くに見えるのは霧ヶ峰高原ですね。夏では木々が生い茂って見えない景色も、冬になると葉が落ちて見えるようになります。これもまた冬の里山ならではの魅力です。

山頂の手前には避難小屋がありました。地元の山岳会が作ったようです。とても簡単な作りですが、里山には通常避難小屋はないので、とても珍しく、霧訪山ではちょっとした名物になっています。

ちょうど1時間ほどで山頂に到着しました。山頂はとても開けていて、360度の展望が望めます。この日はあいにく遠くの山が雲に隠れていますが、運が良ければ、北アルプス、南アルプス、中央アルプス、八ヶ岳を見渡せる大パノラマ。ふと山頂に祠を発見。小野神社、伊邪那岐、伊邪那美と書かれています。里山は信仰の対象の山が多いですが、霧訪山もそのようですね。

山頂には「夢叶う霧訪の鐘」があります。これもまた霧訪山の名物にひとつ。何でも鐘を鳴らすと願いごとが叶うそうな。遠くまで響くいい音でした。里山にはよく山頂にモニュメント的なものがありますが、里山によって違って登る楽しみになります。

山頂に来て初めて知りましたが、他にもルートがあるようです。今度はそちらから登ってみたいです。オキナグサという花も有名らしいので、4月中旬~5月にかけてまた登りに来ようと思います。四季を通して楽しめるのも里山の魅力ですね。